以前の記事で、内部に固定した4cmのファンと背面に仮止めした92mmケースファンでの運用をしばらく続けておりました。しかしながら、負荷のかかる計算をさせていると、最初はかなりの性能が出るのですが、次第の性能が低下していく、つまりは熱によってクロックが下がっているのではないか、との結論に達しました。要するに、きちんと排熱をしないと動きはしますが、性能を発揮できない、ということです。まぁ、GeForce256前後の時代に自らの熱で融けるとか、Thunderbirdの焼き鳥とかにはならないようです。また2~3秒おきにクロックを変化させているようで、手元では細かくファンを止めたり動かしたりして性能の変化を計測できました。(念の為、稼働中のPCの配線をいじる行為は決して勧められず、幸い故障には至っておりませんが、現に何度か電源がぷちんと落ちたりしており危険ですので真似はしない方がいいです)
ブロアファンの購入
通常のケースファンでやるには限界があるのではないかと思い、秋葉原でブロアファンを調達に行きました。ところが、所謂大型店のヨドバシなどはかつては扱っていたのですが、今はPCIEとして装着して内部から外部に排気するような製品の扱いのみでした。そこで、昔からSanMaxのメモリなどでよくお世話になっていたarkさんのところに行きました。ブロアファンの扱いがあるのは非常に貴重なお店であり、在庫でもいくつかブロアファンがあり、かなり強力な縦横93.7mmで厚さ33mmくらいのもの(最大性能の計測にのみ利用、風量17.08CFM)と、縦横51.6mm厚さ15mmのもの(型番PADB15015BH、風量4.11CFM)を購入しました。ネット注文もできるようなので、以下にリンクを貼っておきます(PCパーツの中のクーラー | FAN | 冷却関連にあります)。
ファンの増設
最初に冷却が十分のできたときの性能を、93.7mmのブロアファンでPCIEの外から内に向かって風を送り込んで計測します。ただ、これは内部に熱を籠もらせる観点で望ましくなく、一時的な性能計測の目的です。このときの性能は、動かし初めの初期に見られる性能とかなり近く、これを100%の性能と見做しました。
以前から動かしている4cmのケースファンに加えて、この51.6mmのブロアファンを横から2本の8ピンの電源ケーブルに挟み、なおかつ簡単にセロハンテープで仮止め(本当に仮止めくらいでほぼケーブルで挟まっております)をしました。こんな感じです。
この状態で、さらにPCケースの後ろから今度は強力な方の92mmファンを使って強制排気をかけました。
まとめますと、まずはTesla P100の後ろにネジで4cmのケースファンを固定し、その横に51.6mmのブロアファンで空いているところから風を送り込み、最後にケースの後ろから強力に吸気を行う。この3つの組み合せで、最大性能の9割超の性能が出せます。
ファン増設の効果の確認
念の為、各ファンを止めた場合にどうだったか、ということで、4cmのケースファンと止めた場合、約7割程度まで低下します。さらに51.6mmブロアファンを止めると、5割程度まで低下、そして背面のファンを完全に止めると6割にまで低下します。背面の92mmファンを以前の静穏ファンに戻すと7~8割くらいです。よって、この全ての組み合せでようやく9割超の性能が実現できるようです。
ケースのエアフローに関しても注意が必要です。吸気と排気のバランスが取れている必要があり、無闇やたらに排気ばかりを強力にし過ぎると、電源からの排気が弱くなってしまうという問題もあるようです。手元のケースの場合、かなりしっかりした作りで吸気ファンもそれなりに前面に付いており、また他にも吸気口があります。よって、この構成で上手く動いているようです。
最後にまとめですが、ここまで到達するのは大変手間でした。最初から相応に設計されているケースとの組み合せでの購入が一番いいです。でも、それでも今回のように既存のワークステーションに強引に増設するような場合、今回のような非常に面倒なことをやらなければなりません。お勧めできませんが、他に選択肢がないような場合は参考にしていただければと思います。また次の世代のTesla V100もP100と同様に冷却がPassiveのものしか発売されないので、この記事で行った内容は同様に参考になるものと思います。
追記
さらに前面から扇風機で風を当てることで、5%弱の性能向上が見られました。まだまだ発熱が性能の律速要因になっている可能性があるようです。ただ、これ以上の性能向上の試みはまた今度にします。
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